「悲しみ節」

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

福岡県筑後平野の大刀洗地区。豊かな田園風景の中に双塔がそびえ立つ今村教会があります。鉄川与助設計の煉瓦造りの美しい教会堂です。

今村地区のキリシタンが発見されたのは1867年のことです。発見のきっかけとなったのは浦上の紺屋が藍を仕入れにいったとき、今村にキリシタンがいるという噂を聞いたことでした。紺屋はさっそくプチジャン神父に話し、神父は人を送って、調べさせます。その間のいきさつは、佐藤早苗著『奇跡の村』(河出書房新社)に詳しく述べられています。

神父から派遣された深堀徳三郎ら4名が海路や陸路を経て久留米から今村に入り、男の髪結いをしている一銭床屋のシマという女の家に泊まることになります。夕食のおかずについてのやりとりの中で、「鶏も卵も一切食べません。たべてはならぬときですから」という4人の返事に、シマは「悲しみ節」を共有していることがわかって、お互いにキリシタンであることを理解したという話です。

「悲しみ節」とは四旬節のことです。古くから、復活祭に洗礼を受ける志願者の直前の準備期間と考えられてきました。すでに洗礼を受けた信者も、この期間を通して節制と回心に務め、自分の生活をふり返ります。四旬節は「40日の期間」という意味で、40という数字はイエス様が荒れ野で40日間断食をしたことに由来します。それにならって40日の断食という習慣が生まれました。けれども実際には、復活祭の46日前の水曜日(灰の水曜日)から四旬節が始ります。それは、主日である日曜日には断食をしない習慣だったからです。断食については、現在では以下のように「大斎・小斎」があります。大斎・小斎を守る日は灰の水曜日と聖金曜日(復活祭直前の金曜日)、小斎をまもる日は祭日を除く毎金曜日です。

大斎 1日に1回だけの十分な食事とそのほかに朝ともう1回わずかな食事をとることができ、満18歳以上満60歳未満の信者が守ります。
小斎 肉類を食べないことですが、各自の判断で償いの他の形式、とくに愛徳の業、信心業、節制の業の実行をもって代えることができます。満14歳以上の信者が守ります。

私たちも「悲しみ節」を意識して過ごすようにいたしましょう。

主任司祭 松尾 貢

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